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2020.08.17

ウィズコロナ時代に向けた研修のオンライン化(その3)

調査普及課の亀井です。このコラムも3回目となりました。まだ読んでいない方は、ぜひこちら(その1その2)のコラムからお読みください。今回は、研修をオンライン化したことによる効果とオンラインならではのサービスについてご紹介したいと思います。

 

地方からの受講者が増える

もっともわかりやすい効果は地方からの受講者の増加です。これまでRESTECの研修の受講者は、85%が関東在住・在勤の方々で、地方から参加される方は15%でした。それが、今年5月から8月までに開講した6回の講座では、実に40%の方が関東外からの受講者でした。我々は多くの方々にリモートセンシングの学習機会を提供したいと考えているので、これは非常に嬉しい傾向です。交通費や宿泊費だけでなく、移動にかかる時間も節約できるので、多忙な方も参加しやすくなっていると思います。

 

受講者の集中力がアップする

地方からの受講者増加はある程度予想していました。あまり予想していなかったのが、集合型研修よりも集中して受講できた、というご意見です。細かい理由は聞いていませんが、次のような理由が想像できます。

  • ●スクリーンに投影されるスライドよりも画面共有されるスライドの方が見やすい
  • ●慣れた場所から参加するのでリラックスして聴講できる
  • ●他の受講者に気を遣わずに参加できる
  • ●疲れたら自由に休憩を取ってリフレッシュできる(あまりお勧めしませんが…)

今後しばらくはコロナの影響が続くでしょうし、多くの方が益々ウェブ会議に慣れてくるでしょうから、集中力の向上という効果はさらに高まるのではないかと思います。

 

自分の情報を参照かつ共有しやすい

もう1つ、あまり予想していなかった効果は、自分が持っている既存の情報を参照・共有しやすいという点です。RESTECの研修では、「総合演習」の中で受講者が自ら課題を選び、衛星データを解析して課題解決を試みる時間があります。どのような課題であっても衛星だけで解決することは難しく、様々なデータや情報を組み合わせることが重要です。例えば洪水の被害把握であれば、降雨の日時や量、河川流量や決壊などの情報を併せて用いることで、より高度な推定が可能になります。

受講者は自分のPCを使っているので、過去に調べた結果がローカルに残っているかもしれませんし、ウェブサイトの情報にブックマークをしているかもしれません。ウェブサイトであれば自分が参照するだけでなく、画面共有で紹介し、チャットでURLを共有することが可能です。受講者の中には各分野のプロもいらっしゃいますので、このような情報は我々にとっても非常に勉強になりますし、受講者間で情報共有をされる場合もあります。我々の研修は、単にリモートセンシングの技術を学ぶだけでなく、受講者が持つ専門的な知見を共有できる場にもなっているのです。

 

関連するe-Learningをセットで受講する

さて、次にオンラインならではのサービスについてご紹介します。最初のコラムで、RESTECは「e-Learning」の動画もオンラインで提供していることを紹介しました。我々は集合型研修をオンライン化するにあたり、このe-Learning動画の有効活用を併せて検討しました。そして、座学であれば、オンラインで講義を聴いても動画を視聴しても大差がないと考え、受講者には思い切って関連するe-Learning動画を無料で提供し、事前・事後学習用に使ってもらうことにしたのです。

これにより、e-Learning動画がある科目については、講義当日はポイントの説明や質疑応答にとどめて多くの時間を削減し、その分実習や総合演習にできるだけ時間を割くことにしました。これまで受講者からは「もっと実習や演習の時間が欲しい」というご意見を多く頂いていたので、この要望に応える形です。自ら考え、手を動かす時間が増えることで、受講者はより深く理解できるようになると思います。

録画した動画で後れを取り戻す

RESTECの研修には普段忙しい方も時間をやりくりして参加してくれています。研修の途中でどうしても外せない仕事が入り、少しの間席を外すというケースがありました。また、RESTECの研修ではブレイクアウトセッション機能を使って個別指導を行っていますが、個別指導中に全体の講義についていけなくなったら本末転倒です。このようなケースでは、Zoomで講義を録画しておき、後ほど当該受講者に動画を提供することを試験的に行っています。正規のサービスとするにはクリアしなくてはならない課題がいくつか残っているのですが、実現すれば復習にも活用できると思います。

 

最後に

3回のコラムをお読みいただきありがとうございました。最後に、集合型と比較して、オンライン研修がどのように評価されているかをご紹介します。図1は、2019年度に実施した集合型研修への総合評価[1]と、2020年度7月までに実施したオンライン研修の5講座に対する総合評価を比較したものです。約9割の方に「満足」もしくは「やや満足」という評価を頂いておりますが、ここで言いたいことは、オンラインでも集合型とほぼ同じ評価を受けているという点です。このコラムでご紹介した様々な工夫が功を奏しているのであれば、非常に嬉しい限りです。

 

[1] 2019年度の詳しい評価結果はこちらのページをご覧ください。

◆ ウィズコロナ時代に向けた研修のオンライン化(その1)
◆ ウィズコロナ時代に向けた研修のオンライン化(その2)

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