LECTURER監修・講師

監修者代表挨拶

リモートセンシングを社会に実装するために

安岡 善文 リモートセンシング技術センター(RESTEC)研修プログラム全体監修(東京大学名誉教授)

安岡善文
研修プログラム全体監修
リモート・センシング技術センター(RESTEC)
(東京大学名誉教授)

リモートセンシングの始まりは、1858年にフランスの写真家兼気球研究者のナダルが、上空から気球を使ってパリの写真を撮影したこと、といわれています。それ以来、リモートセンシングは、航空機や人工衛星などの飛翔体を使って、より高くからより広い範囲を観測するためにその手法を進化させてきました。飛翔体ばかりではなく、光学カメラやスキャナー、さらにはマイクロ波センサなど撮像装置も進化し多様化してきています。今ではドローンにセンサを搭載して観測することにより、環境や農業、防災などに関するより詳細な地表面情報を取得することも可能となってきました。
一方で、現場では、どのような場合にどのような方法でリモートセンシングを利用することが効果的なのか、を知りたいという声があがっていることも事実です。あまりに選択肢が多くなり、どうしてよいのか判らない、ということでしょう。RESTECにおけるリモートセンシング研修は、この声に答えることを一つの目的としています。

さらに難しい課題が与えられるようになりました。今日では科学技術が社会の抱える課題を解決すること、そのために科学技術を社会に実装することが求められるようになっています。国連によって開始されたSDGs、またSDGs達成のための科学技術イノベーション(STI for SDGs)プログラム、さらにはFuture Earthプログラムなどの国際的な枠組みが相次いで開始されました。これらの動きはいずれも、科学技術が社会の具体的な課題の解決に向けて、社会と一緒になって貢献しなければならない、という共通の考えに基づいています。気候変動問題や食糧問題など、いま世界が抱える具体的な課題をみれば、その要請は当然ともいえるでしょう。

リモートセンシングが、地域から地球までの広いスケールでの課題解決のために重要な役割を果たすことは間違いありません。しかしながら、これまでのように、こんな技術がありますから誰でも自由にお使いください、という技術シーズの提供という姿勢だけでは課題の解決に繋がりません。リモートセンシング技術を提供する側が、課題解決のためにどう使うのかという視点から目標に向けた道筋を示し、その技術を社会に実装することが求められています。

次年度から始まるRESTECの新たな研修プログラムでは、
@技術シーズの最先端を体系化するとともに実例、実技を通して紹介すること、
に加えて
@社会の要請に応えて、リモートセンシングを社会実装する考え方を紹介すること、
に注力するこことしました。勿論、社会的な課題解決に向けたアプローチにはまだ決まった方法論がある訳ではありません。手探りにはなりますが、受講される方々と一緒にリモートセンシング研修プログラムを構成してゆきたいと思います。

この出口指向の考え方は、池田要RESTEC理事長のリーダーシップのもとで開催された「キャパシティビルディングのあり方に関する有識者懇談会」(2017年度に3回開催)における議論の中で生まれました。社会が抱える課題の解決に向けてリモートセンシングを社会実装する道筋を探りませんか?

監修者

安岡 善文

名前
安岡 善文
所属
東京大学
役職
名誉教授
監修講座
全体監修
略歴
東京大学大学院博士課程修了、博士(工学、東京大学)
1975年環境庁国立公害研究所(現国立環境研究所)入所、環境情報部、総合解析部
1996年地球環境研究センター総括研究管理官
1998年東京大学生産技術研究所教授
2007年独立行政法人国立環境研究所理事、東京大学名誉教授
2011年科学技術振興機構フェローおよび情報・システム研究機構監事
日本リモートセンシング学会、日本写真測量学会、計測自動制御学会、環境科学会、米国電気電子工学会(IEEE)等の会員
2002-2004年日本リモートセンシング学会会長
2010年横断基幹科学技術連合副会長

名前
木村 宏
所属
岐阜大学工学部電気電子・情報工学科
役職
教授
監修講座
SARリモートセンシング講座監修
略歴
東北大学工学部通信工学科卒、博士(工学、東北大学)
1979年~1994年財団法人リモート・センシング技術センター
1994年~岐阜大学
現在、岐阜大教授
主に合成開口レーダ(SAR)データの信号処理、補正および校正処理、干渉SARや偏波SARデータの処理・応用の研究に従事
電子情報通信学会、日本リモートセンシング学会、日本写真測量学会、IEEE各会員
主な受賞:
1990年 日本リモートセンシング学会論文奨励賞
1993年 日本リモートセンシング学会論文賞

島田 政信

名前
島田 政信
所属
東京電機大学 理工学部 建築都市環境学系
役職
教授
監修講座
SARインターフェロメトリ講座監修
略歴
京都大学大学院工学研究科修了、博士(工学、東京大学)
1979年4月から2015年3月まで宇宙航空研究開発機構
2015年4月以降、東京電機大学理工学部建築・都市環境学系教授
SAR(航空機、衛星)の映像化処理、校正、干渉SAR解析、ポラリメトリックSAR、全球森林解析などを行う
2011〜、IEEE Geoscience and remote sensing学会(Fellow)
AGU学会、日本リモートセンシング学会、日本測地学会、各会員
著書:Imaging from spaceborne and airborne SARs, calibration, and Applications、Taylor & Francis, CRC press、島田政信、2018年
主な受賞:
2014 Highest Impact Paper award from IEEE for “PALSAR Radiometric and Geometric Calibration,” TGRS, vol. 47, no. 12, pp. 3915-3932, December 2009
2018 Distinguished achievement Award, IEEE, July 2018.

長 幸平

名前
長 幸平
所属
東海大学情報技術センター
役職
教授
監修講座
リモートセンシング基礎講座監修
略歴
千葉大学大学院修士課程修了、博士(工学、東京大学)
財団法人リモート・センシング技術センター研究員を経て、
1992年から東海大学に奉職
現在,東海大学情報理工学部教授。情報技術センター所長、宇宙情報センター長、研究推進部長、創造科学技術研究機構長を兼務
アジアリモートセンシング協会(AARS)事務総長
日本写真測量学会副会長
衛星リモートセンシングによる即時監視、海氷観測、ディジタル教材開発等の研究に従事
主な著書(共著):画像解析ハンドブック、図解リモートセンシング、基礎からわかるリモートセンシング、合成開口レーダハンドブック等
主な受賞:
2009年 Boon Indrambarya Medal
2012年 ISPRS Samuel G. Gamble Award

山口 靖

名前
山口 靖
所属
名古屋大学大学院環境学研究科
役職
教授
監修講座
光学リモートセンシング講座監修
略歴
東北大学大学院理学研究科修士課程修了、博士(理学、東北大学)
1980年に工業技術院地質調査所入所
1996年から名古屋大学大学院理学研究科
現在、名古屋大学大学院環境学研究科教授
2012年~2014年 日本リモートセンシング学会 会長
2016年~2017年 IEEE/GRSS Japan Chapter Chair
現在、地球観測データ利用ビジネスコミュニティ 会長
Remote Sensing, Journal Editorial Board Member
International Journal of Geoinformatics, Associate Editor
主な受賞:
2017年 日本リモートセンシング学会優秀論文発表賞
2015年 日本リモートセンシング学会功績賞

講師陣

安達 勇介安達 勇介

名前
安達 勇介
所属
研究開発部 先端技術課
役職
研究員
担当講座
SARリモートセンシング講座
最終学歴
博士後期課程 単位取得満期退学(情報科学、愛知県立大学大学院情報科学研究科)
保有資格
基本情報技術者
主な論文
・安達 勇介,山本 純平,吉田 大智,小田川 信哉,石井 景子,リモートセンシングデータのクビアカツヤカミキリ防除に対する活用方法の検討,日本リモートセンシング学会 第75回(令和5年度秋季)学術講演会
・安達 勇介,齊藤 蔵人,佳山 一帆,瓜田 真司,栗田 充喜,平松 真宙,平野 晴也,佐藤 鞠江,出原 真理子,住田 桃子,山之口 勤,古田 竜一,黒岩 かおり,石井 景子,マルチソース変化抽出システムの開発、日本リモートセンシング学会 第75回(令和5年度秋季)学術講演会
・Y. Adachi, R. Kikuchi, K. Obata, H. Yoshioka, 2019. Relative Azimuthal-Angle Matching (RAM): A Screening Method for GEO-LEO Reflectance Comparison in Middle Latitude Forests, Remote Sensing, 11(9), 1095.
・Y. Adachi, M. Ito, & T. Naruse, 2019. Online Strategy Clustering Based on Action Sequences in RoboCupSoccer Small Size League, Robotics, 8(3), 58.
実績
元々ロボットのAI関係の研究、および競技(RoboCup)に参加していた背景があり、そこから異なる軌道の光学衛星の利用に関わる研究を経て、入社後は一転してSARを使用した災害対応や地表面変位の計測、関連するソフトウェア開発などを行ってきました。現在は主にSARと光学の複合利用や融合に関わる研究開発に従事しています。
講師から一言
SARと光学の観測データは、どちらもたくさん手に入る時代になっています。講座ではSARの基礎としてSARの仕組みを解説しますほか、SARの観測で得られる情報のうち、強度画像で何が見えるのか体験いただきます。SARは奥が深く、インターフェロメトリ講座やポラリメトリ講座とどう繋がるかも説明できればと思います。地球観測の選択肢として光学に加え、SARもご検討いただけるようになれば幸いです。

磯口 治磯口 治

名前
磯口 治
所属
つくば事業所 ALOS系解析研究課
役職
課長
担当講座
SARインターフェロメトリ講座
最終学歴
博士(理学、東北大学大学院理学研究科)
主な論文
・O. Isoguchi, and M. Shimada, 2009. An L-band ocean geophysical model function derived from PALSAR, IEEE Trans. Geosci. Remote Sensing., 47(7), 10.1109/TGRS.2008.2010864, 1925-1936.
・M. Shimada, O. Isoguchi, T. Tadono and K. Isono, 2009. PALSAR Radiometric and Geometric Calibration, IEEE Trans. Geosci. Remote Sensing, 47(12), 10.1109/TGRS.2009.2023909, 3915-3932.
・O. Isoguchi, K. Ishizuka, T. Tadono, T. Motohka and M. Shimada, 2019. Effect of Faraday Rotation on L-Band Ocean Normalized Radar Cross Section and Wind Speed Detection, IEEE Journal of Selected Topics in Applied Earth Observations and Remote Sensing, 10.1109/JSTARS.2019.2894814.
実績
大学時代は、衛星データを用いた海洋の研究を行ってきました。入社後、すぐに、合成開口レーダ(SAR)に関する業務に従事し、JAXAのSAR衛星である、JERS-1、PALSAR、PALSAR-2の校正・検証、また、アプリケーションとして、森林、海洋への利用に関する研究、業務に携わってきました。
2019年 日本リモートセンシング学会論文賞受賞
講師から一言
近年は小型衛星によるSAR観測も始められ、多くのSARデータに触れることのできる機会が増えています。研修を通して、SARデータの基礎に触れることで、利用に結び付ける手がかりとなることができればと思います。

遠藤 貴宏遠藤 貴宏

名前
遠藤 貴宏
所属
研究開発部 環境解析課
役職
主幹研究員
担当講座
リモートセンシング基礎講座
光学リモートセンシング講座
森林・林業分野におけるリモートセンシング実務者講座
最終学歴
博士(工学、東京大学大学院工学系研究科)
主な論文
Y. Sawada, R. Suwa, K. Jindo, T. Endo, K. Oki, H. Sawada, E. Arai, Y. E. Shimabukuro, C. H.  S. Celes, M. A. A. Campos, F. G. Higuchi, A. J. N. Lima, N. Higuchi, T. Kajimoto, M. Ishizuka, 2015. A new 500-m resolution map of canopy height for Amazon forest using spaceborne LiDAR and cloud-free MODIS imagery, International Journal of Applied Earth Observation and Geoinformation, 43, 92-101.
実績
現在、自然環境分野における研究開発を勢力的に行っています。最近では、JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ- FAST)の開発運用を支援やJAXA 植生LiDARセンサ開発のサイエンス委員としてアルゴリズムの開発に携わっています。
2010年 Best Paper award(ISPRS Technical Symposium VIII in Kyoto)受賞
社会教育活動
IPCC TFI 主執筆者
東京大学生産技術研究所 リサーチフェロー
産業総合研究所 人工知能研究センター 特定集中研究専門
講師から一言
昨今、AI技術の急速な社会への普及に伴い、仕事の種類やその内容が急激に変化ており、情報が価値を有する時代になってきています。そのため、データを早く・安く・情報化することを社会から求められています。情報化には、実は、「データ」がとても重要です。そこで、講義では、対象の分光特性とは、衛星/センサの特徴とは、データの質を低下させる要因とは、など、データの作られ方から解析・応用までを丁寧に分かりやすい事例を踏まえて説明いたします。気楽に参加してください。

奥村 俊夫奥村 俊夫

名前
奥村 俊夫
所属
ソリューション事業部 事業戦略課
役職
参事
担当講座
GEEを用いたリモートセンシング講座
農業分野におけるリモートセンシング実務者講座
最終学歴
修士(情報工学、金沢工業大学大学院工学研究科)
主な論文
・K. Oyoshi, N. Tomiyama, T. Okumura, et al., 2016. Mapping rice-planted areas using time-series synthetic aperture radar data for the Asia-RiCE activity, Paddy and Water Environment, 14(4), 463-472.
・T. Okumura, S. Sobue, N. Tomiyama and K. Oyoshi, 2015. A new method to estimate rice crop production and outlook using Earth Observation satellite data, CROP MONITORING FOR IMPROVED FOOD SECURITY, Proceedings of the Expert Meeting 2014, 85-92.
・S. Takashima, K. Oyoshi, T. Fukuda, T. Okumura, N. Tomiyama, T. Nagano, 2013. Asia rice crop monitoring in GEO GLAM, 2013 Second International Conference on Agro-Geoinformatics.
実績
専門はコンピュータサイエンスで入社し、衛星データの受信処理や解析システムの設計開発に携わっていました。古くはLandsat、SPOT、MOS、EERS-1/2、JERS-1、ADEOS、ADEOS-2から、ALOS、ALOS-2といった衛星の地上設備の開発に携わってきました。 リモートセンシングに携わるなら、データ利用分野をやってみたいと農業利用分野に飛び込み、日本中、世界中の農地を対象に衛星データを解析し、検証、評価のため国内はじめ東南アジアやアフリカなどの様々な農地を訪れたりもしています。今では、農業リモートセンシングをベースに、あらゆる分野で、あらゆる技術を活用して社会課題解決を目指す仕事をしています。
講師から一言
地球観測衛星データの利用は、他のビッグデータとともに、大量データ処理が可能なクラウドコンピュータ環境を用いたプラットフォーム上で、研究開発を行うというパラダイムシフトがおきています。GoogleやAmazonを始め日本でもさくらインターネットが経済産業省のもと進めるTellusなど、ICTベンダーの多くが力を入れて取り組んでいます。この時代の流れに乗り遅れないためにも、まずは、フリーで手軽に利用できるGEEで、時代の流れの変化を感じてみませんか。

小田川 信哉小田川 信哉

名前
小田川 信哉
所属
研究開発部 環境解析課
役職
主任研究員
担当講座
リモートセンシング基礎講座
光学リモートセンシング講座
GEEを用いたリモートセンシング講座
最終学歴
博士(工学、東京工業大学大学院総合理工学研究科)
保有資格
技術士(応用理学部門)
測量士
主な論文
小田川 信哉, 小杉 幸夫, 齋藤 元也, 宇都 有昭, 佐々木 由佳, 小田 九二夫, 加藤 雅胤, 航空機ハイパースペクトルデータを用いた水稲の生育・収量・タンパク含有率の推定手法の開発, 写真測量とリモートセンシング, 2012 年 51 巻 5 号 pp. 270-284.
実績
これまで、地質調査、土壌・地下水汚染調査、急傾斜地調査、森林調査、環境調査、鉱物資源調査など、地形・地質をベースに様々な経験を通して、リモートセンシングの社会実装に向けて取り組んでまいりました。
講師から一言
土壌・地下水汚染調査、斜面防災調査、森林調査、農作物調査、海外ODA案件など、様々な下積みを重ねつつ、リモートセンシングを軸に研究開発やコンサルティングをしております。皆様の課題解決の一助になれれば幸いです。

春日 知明

名前
春日 知明
所属
研究開発部 システム開発課
役職
研究員
担当講座
GEEを用いたリモートセンシング講座
最終学歴
博士(理学、東京大学大学院理学系研究科)
主な論文
・Hiroyuki Uchida, Tomoaki Kasuga, Keiichi Maeda, Shiu-Hang Lee, Takaaki Tanaka, Aya Bamba, 2024. Three-Dimensional Velocity Diagnostics to Constrain the Type Ia Origin of Tycho’s Supernova Remnant, The Astrophysical Journal, Volume 962, Issue 2, id.159.
・Tomoaki Kasuga, Jacco Vink, Satoru Katsuda, Hiroyuki Uchida, Aya Bamba, Toshiki Sato, John. P. Hughes, 2021. Spatially Resolved RGS Analysis of Kepler’s Supernova Remnant, The Astrophysical Journal, Volume 915, Issue 1, id.42.
・Tomoaki Kasuga, Hirokazu Odaka, Kosuke Hatauchi, Satoshi Takashima, Tsubasa Tamba, Yuki Aizawa, Soichiro Hashiba, Aya Bamba, Yuanhui Zhou, Toru Tamagawa, 2020. Artifact-less Coded Aperture Imaging in the X-ray Band with Multiple Different Random Patterns, Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems, Volume 6, id. 035002.
実績
大学院時代はX線天文学・宇宙物理学分野の研究を専門としており、天文衛星が観測した超新星残骸の爆発噴出物に関するデータ解析や、超小型衛星による硬X線帯域の偏光撮像の実現に向けた装置の開発を行っていました。現在は人工衛星による観測対象を地球に移し、主に森林を対象とした地球環境のデータ解析や、地球観測データのインフラ全般にまつわるシステム周りの開発を行っています。
講師から一言
近年の地球観測データの増加量は一昔前とは比べものにならないほど大きくなっており、ビッグデータの時代が目の前にまで来ています。これからは個々のデータをダウンロードしてローカルPCで解析を行うことはなくなり、クラウド上ですべてを完結させることが当たり前になるかもしれません。誰もが簡単に大量の衛星データにアクセスし高度な解析を行うことができるGoogle Earth Engineを通じて、新しい時代の衛星データ解析をぜひ体験してみてください。

久保 海久保 海

名前
久保 海
所属
研究開発部 先端技術課
役職
研究員
担当講座
リモートセンシング基礎講座
最終学歴
修士(工学、法政大学大学院理工学研究科)
主な論文
・Keisuke Takehana, Daisuke Suzuki, Katsuaki Tanaka, Kai Kubo, Koichi Nakamura, 2023. Evaluation of topography and sand mechanics in Tottori sand dunes and moon. 34th International Symposium on Space Technology and Science (ISTS)
実績
大学時代は天文学を背景に人工衛星の動力部であるスラスタが衛星機体に与える推力雑音という微小振動を測定・評価する装置開発を行っていました。入社後は主にJAXAの光学衛星に関する幾何補正プロダクトの開発および評価業務の他、光学衛星やSAR衛星を用いた船舶の動向分析といった業務にも携わってきました。最近ではアルテミス計画に代表される月面探査といったテーマについてもこれまで培ってきたリモセン技術を活用した研究開発に取り組んでいます。
講師から一言
昨今さまざまな衛星プロバイダが市場に参入し、年間通して得られる衛星データ数は非常に膨大です。また取り扱われているデータも千差万別、地球上の様子を様々な目線で観測することができるようになってきています。衛星データはあくまでも手段の一つではありますが、皆さまが抱える課題を解決する糸口となるかもしれません。衛星データというと初めはなかなか取っ付きにくい点もあると思いますが、どのようなデータがあり、どういった特徴があるのかを具体例を交えながらわかりやすくご説明したいと思いますので、どうぞお気軽にご参加ください。

高久 淳一高久 淳一

名前
高久 淳一
所属
研究開発部 先端技術課
役職
主幹研究員
担当講座
光学リモートセンシング講座
最終学歴
博士(工学、東京大学大学院工学系研究科)
主な論文
・J. Takaku and T. Tadono, 2009. PRISM On-orbit Geometric Calibration and DSM Performance. IEEE Transaction on Geoscience and Remote Sensing, 47(12), 4060-4073.
・J. Takaku, T. Tadono, K. Tsutsui, and M. Ichikawa, 2016. Validation of ‘AW3D’ Global DSM Generated from ALOS PRISM, ISPRS Annals of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Vol.III-4, 25-31.
実績
JAXAやNASAなどの宇宙機関が打ち上げた様々な地球観測衛星の光学センサについて、衛星からの受信データを一般ユーザが使えるよう画像化したり、或いはより高度な処理を加えることで新たな情報を生み出すようなソフトウェアの開発に携わってきました。具体的にはJAXAの「もも」、「ふよう」、「みどり」、「だいち」、「しきさい」、「いぶき」、「つばめ」およびNASAの「LANDSAT」、欧州の「SPOT」のデータ処理や、「だいち」に搭載されたステレオ立体視光学センサ「PRISM」から全球の三次元地形を表現したデータ「AW3D」を生成するソフトウェアの開発を実施してきました。現在は「だいち」の後継機で来年以降に打ち上げが予定されている「先進光学衛星」に係るソフトウェアの開発を進めています。
講師から一言
昨今のインターネットやWi-Fiに代表される無線通信技術の爆発的な普及に伴い、世の中の多くの人々が例えばGoogle mapなどを介して人工衛星による光学リモートセンシングデータをそれと気づかずに利用する機会が非常に多くなっています。これらGISの重要なデータリソースである衛星データを今後のビジネスなどに有効活用するには、その基本原理や基礎的なデータ解析技術などを理解しておくことがとても重要になります。自身のこれまでの経験を踏まえた講義を通じて是非みなさまのお役に立てればと思います。

 

橋口 太一郎

名前
橋口 太一郎
所属
つくば事業所 地球環境系解析研究課
役職
主任研究員
担当講座
光学リモートセンシング講座
最終学歴
修士(工学、首都大学東京大学院 航空宇宙システム工学域(現 東京都立大学大学院))
主な論文
・T. Urabe, X. Xiong, T. Hashiguchi, S. Ando, Y. Okamura, K. Tanaka, “Radiometric Model and Inter-Comparison Results of the SGLI-VNR On-Board Calibration,” Remote Sens., vol. 12, issue.1, 69, Dec. 2019. ・T. Urabe, X. Xiong, T. Hashiguchi, S .Ando, Y. Okamura, K. Tanaka, M. Mokuno, “Lunar Calibration Inter-Comparison of SGLI,MODIS and VIIRS.” In: Proc. of IEEE/IGARSS, pp. 8481–8484, Jul. 2019. ・T. Hashiguchi, Y. Okamura, K. Tanaka, Y. Nakajima, K. Suzuki, T. Sakashita, T. Amano, “Radiometric performance of Second-generation Global Imager (SGLI) using integrating spheres,” in Proc. SPIE, vol. 10000, no. 1000007, Oct. 2016.
実績
入社以来、衛星搭載光学センサの地上及び軌道上での校正に関わる業務を担当してきました。また2013年から5年間、JAXAで気候変動観測衛星「しきさい」の光学センサ性能評価及び処理アルゴリズムの開発に従事し、衛星の開発・打上げ・運用も経験しました。現在はその経験を活かし、他の光学センサに適応出来る評価の構築や、データ利用について進めています。
講師から一言
近年は国内外で衛星が数多く打ち上げられ、皆様も衛星画像を見られた経験はあるかと思います。その中でも光学センサで観測される画像は写真として用いられる場面が多くありますが、実際には様々な情報を持ったデータです。本研修を通して皆様の衛星データ利用の第一歩の助けになれればと思います。

樋口 理子樋口 理子

名前
樋口 理子
所属
研究開発部 環境解析課
役職
課長
担当講座
リモートセンシング基礎講座
最終学歴
修士(理学、筑波大学物理学研究科原子核物理学専攻)
主な論文
・M. Shimada, O. Isoguchi, T. Tadono, R. Higuchi, and K. Isono, PALSAR CALIBRATION AND VALIDATION, J. Space Technology and Science, vol. 23, no. 1, pp. 36-42, 2007.
・Kei Shiomi, Shuji Kawakami, Tomoko Kina, Yasushi Mitomi, Mayumi Yoshida, Nami Sekio, Fumie Kataoka, and Riko Higuchi “GOSAT level 1 processing and in-orbit calibration plan”, Proc. SPIE 7106, Sensors, Systems, and Next-Generation Satellites XII, 71060O (9 October 2008); https://doi.org/10.1117/12.800278
・Takashi Y. Nakajima, Haruma Ishida, Takashi M. Nagao, Masahiro Hori, Husi Letu, Riko Higuchi, Naoya Tamaru, Naritoshi Imoto & Akihiro Yamazaki, Theoretical basis of the algorithms and early phase results of the GCOM-C (Shikisai) SGLI cloud products. Prog Earth Planet Sci 6, 52 (2019). https://doi.org/10.1186/s40645-019-0295-9
実績
入社以来、JAXAが打ち上げた衛星の様々な光学センサの校正検証や画像解析、データセット作成など、幅広い業務を担当してきました。また、SARの校正業務に従事したこともあります。農業分野では、衛星データを用いた収量予測モデルの検討に携わったほか、農業気象情報を提供するためのシステムにも関わっています。
講師から一言
気象衛星ひまわりやGoogle Mapなど、衛星画像を見たことの無い人はいないと思いますが、衛星データを使ったことのある人はまだかなり少数かと思います。衛星データを一人でも多くの方に使っていただきたい、という思いのもと、データ利用にあたっての皆様のご理解のお役に立てれば幸いです。

 

平野 晴也

名前
平野 晴也
所属
つくば事業所 ALOS系解析研究課
役職
研究員
担当講座
SARリモートセンシング講座
最終学歴
学士(工学、千葉大学工学部)
保有資格
測量士
主な論文
・H. Hirano, O. Isoguchi, T. Motohka, M. Ohki and T. Tadono, “Estimation of Ionospheric Tec From Alos-2 Palsar-2 Split-Band Data,” IGARSS 2023 – 2023 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium, Pasadena, CA, USA, 2023, pp. 1861-1864, doi: 10.1109/IGARSS52108.2023.10282622.
実績
学生時代はSARデータを利用した津波被害把握に関する研究に、RESTECではSARに関する校正・検証業務や水害・土砂災害・海上油流出へのSARデータ利用に向けた解析研究業務に従事してきました。現在は、JAXAが運用するALOS-2搭載のPALSAR-2、ALOS-4搭載のPALSAR-3の校正・検証に主に取り組んでいます。
講師から一言
SARデータを解析することで、私たちの目とは異なる観点から、地球表面の様子を知ることができます。日々変わりゆく地球を観て知ることで、役立つ新たな発見があるかもしれません。SARの有用性を活かせるよう、SARデータ解析の基礎と実践をとおして、解析スキルの習得に貢献できればと思います。

道下 亮道下 亮

名前
道下 亮
所属
対外協力室
役職
室長代理
担当講座
リモートセンシング基礎講座
光学リモートセンシング講座
GEEを用いたリモートセンシング講座
最終学歴
Ph.D.(地理学、ユタ大学地理学部博士課程)
主な論文
・R. Michishita, Z. Jin, J. Chen, and B. Xu, 2014. Empirical comparison of noise reduction techniques for NDVI time-series based on a new measure. ISPRS Journal of Photogrammetry and Remote Sensing, 91, 17-28.
・R. Michishita, Z. Jiang, P. Gong and B. Xu, 2012. Bi-scale comparisons of multi-temporal land cover fractions for wetland mapping. ISPRS Journal of Photogrammetry and Remote Sensing, 72, 1-15.
・R. Michishita, Z. Jiang, and B. Xu, 2012. Monitoring two decades of urbanization in the Poyang Lake area, China through spectral unmixing. Remote Sensing of Environment, 117, 3-18.
実績
元北京師範大学全球変化・地球環境科学院専任講師。UCバークレー、ユタ大学、清華大学などで光学時系列データを用いた土地被覆変化のモデリングに従事。解像度の異なる光学衛星データの時空間融合など、衛星ビッグデータ分析にも精通。近年は作物の収量予測や稲の作付け地の抽出など、衛星データの農業分野へ利活用に関する業務に従事するとともに、衛星データ利活用促進のためのキャパシティビルディングやユーザリレーション構築のための仕組みづくりに奔走中。
講師から一言
光学リモートセンシングは、リモートセンシングの基礎知識さえあればそれほど理解は難しくありませんが、学ぶにつれて奥の深さが分かる分野です。センサの仕組みや物理的な原理を正しく理解し、実利用に役立つ主題図を作成するために必要なデータ補正や画像分類に関する知識と技術を身につけましょう。楽しんで受講してください。

山之口 勤山之口 勤

名前
山之口 勤
所属
研究開発部 先端技術課
役職
課長
担当講座
SARインターフェロメトリ講座
SARリモートセンシング講座
最終学歴
博士(理学、総合研究大学院大学複合科学研究科 極域科学専攻)
主な論文
・T. Sagawa, Y. Yamashita, T. Okumura and T. Yamanokuchi, 2019. Satellite Derived Bathymetry Using Machine Learning and Multi-Temporal Satellite Images., Remote Sens., 11(10), 1155.
・J. Ukita, C. Narama, T. Tadono, T. Yamanokuchi, N. Tomiyama, S. Kawamoto, C. Abe, T. Uda, H. Yabuki, K. Fujita and K. Nishimura, 2011. Glacial lake inventory of Bhutan using ALOS data: Part I: methods and preliminary results. Annals of Glaciology, 52(58).
T. Yamanokuchi, K. Doi, and K. Shibuya, 2005.Validation of grounding line of the East Antarctic Ice Sheet derived by ERS-1/2 interferometric SAR data, Polar Geoscience, vol. 18, 1-14.
実績
海洋物理のリモートセンシングを皮切りに、SARデータの利用を中心に取り組んでまいりました。あわせて、JAXAの衛星データの校正・検証や、ヒマラヤ・アンデスといった雪氷域における各種衛星データ利用にも携わっております。また2018年度より、千葉大学大学院融合理工学府 客員准教授を拝命し、リモートセンシングに関わる教育活動も行っております。
講師から一言
人工衛星からみた地表面は、とても美しいです。その美しい地球を維持し、またより美しく・ひとが暮らしやすくしていくための道具のひとつとして、リモートセンシングという技術はあるのだと思います。昨今、ふつうのパソコンさえあれば、だれでも衛星データを扱い、情報を取り出せる身近な宇宙利用の時代になっています。私としても、受講生のみなさんに衛星データを活用いただけるよう、本研修に取り組んでいければと考えております。
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