TOPICSトピック

2022.07.13

光学リモートセンシング講座の演習例ー2022年度

リモートセンシングの基礎知識をお持ちの方で、光学データをこれから扱いたい方を対象に開講している光学リモートセンシング講座は光学センサの仕組みや解析技術について、実習でソフトウェアを使用しながら理解し、総合演習で実践的に課題解決できる技術を身に着ける講座です。ここでは、20226910日に開講した光学リモートセンシング講座で実施された総合演習の結果をご紹介いたします。

1.衛星データを使った阿蘇の野焼きの確認

目的
・阿蘇で毎年行われている「野焼き」は、草原の景観維持のために欠かせない行事である。しかし、事故のリスクや人員の減少により今後中止となるリスクが高まっている。
・そこで、野焼きの重要性を検証するとともに、作業を効率的に行うために衛星データが使えるのではないかと考えた。
・今回は2022年に行われた野焼きの状況を、トゥルーカラー画像とNDVIを用いて確認した。

阿蘇市における野焼きの概要 : 野焼き日程 (2022年)

2022/2/26(土)@草千里
2022/2/27(日)@五岳~米塚周辺
2022/3/6(日)  @大観峰周辺

データの収集 : Sentinel-2の撮影データを用いた比較(トゥルーカラー合成)
正規化植生指数(NDVI)を用いた比較

まとめ
【トゥルーカラー合成による比較結果】
野焼き実施前に比べて実施後の方が少しこげ茶色っぽくなっている範囲が見られたため、これが野焼きの行われた跡ではないかと推定できた。

【正規化植生指数(NDVI)を用いた比較】
野焼き実施直後には、実施範囲における植生の活性度が下がり、その後徐々に活性度が上がっているように見えた。

※参照:http://asobi-gokoro.net/2022/02/25/%E9%98%BF%E8%98%87%E3%81%AB%E6%98%A5%E3%82%92%E5%91%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E9%87%8E%E7%84%BC%E3%81%8D2022/ (2022年6月10日アクセス)

 

2.インド洋のモーリシャス共和国重油流出事故による影響と変化

【背景】
2020年7月25日、インド洋のモーリシャス共和国で日本のばら積み貨物船「WAKASHIO(わかしお)」が座礁し、重油流出事故が発生。86日以降に約4000トン搭載していた燃料の重油が流出しはじめた重油はモーリシャス島の海岸に漂着し、マングローブ林に入り込んでいるほか、サンゴに付着するなど長期にわたる環境被害の発生が懸念されている。

考察
重油流出以前と以後での海洋及び海岸線陸域における変化と影響量を時系列に確認する。

【手順】
  その1 : ランドサットカラー画像による目視比較
  その2 : ランドサット画像によるヒストグラム作成
  その3 : ランドサット画像によるNDVI解析比較
  その4 : 高解像度画像(Maxar画像)による目視比較

■その1 : 画像比較
2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2019/5/24撮影画像

 

 

 

 

 

■その2 : ヒストグラム比較
2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2019/5/24撮影画像

 

 

 

 

 

■その3 : NDVI比較
2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2019/5/24撮影画像

 

 

 

 

 

【参考】その1 : 画像比較   ※緑地面積の変動が重油流出に関わるものか確認
2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2020/7/29撮影画像

 

 

 

 

 

 

【参考】 その2 : ヒストグラム比較 ※緑地面積の変動が重油流出に関わるものか確認

2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2020/7/29撮影画像

 

 

 

 

 

 

【参考】 その3 :  NDVI比較 ※緑地面積の変動が重油流出に関わるものか確認
2020/8/14撮影画像

 

 

 

 

 

2020/7/29撮影画像

 

 

 

 

 

 

【参考】 その4 : Maxar画像による比較 ※カラー画像目視による確認
(流出前)2020/7/16撮影画像

流出後)2020/8/1撮影画像

(流出後)2020/8/12撮影画像

■分析による考察と反省

  • カラー画像、ヒストグラム、NDVI解析による比較では、重油の流出度合い変化を抽出するには厳しかった。
  • 2020年8月と2019年5月の画像で比較を行ったが、陸域の緑地変化が重油流出の影響によるものか、単純に都市開発などの結果なのかが明確に把握できず、比較する時期をできるだけ短く設定する方が良いと感じた。(ランドサットの画像で時期が近いものは雲の影響が多いものが多く、全域クリアな画像が上記の画像しかなかった。)
  • 参考にMaxarのサイトでも同時期のモーリシャス画像を確認したところ、重油の流出による海水の御染色らしきものが確認できた。今後は必要な解析に応じて、どのような画像をどの手法で分析するべきか、実際に色々と試して効率の良いパターンを身につけていきたいです。

 

3.ウクライナの作付面積の比較

【ウクライナの背景】
※参照 : 
独立行政法人農畜産業振興機構 調査情報部(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003212.html 2022年6月10日アクセス)

観測日:2021/5/10, 2022/5/10

2021/5/10 @Landsat8

2022/5/5@Landsat9

 

 

 

 

 

 

 

大気補正後のフォールスカラー画像

NDVI

2021/5/10@Landsat8

2022/5/5@Landsat9

 

 

 

 

 

 

 

2時期のカラー合成による変化抽出

@Band5 Diff

@NDVI Diff

 

 

 

 

 

 

 

教師なし分類①
分類結果に対して、作付対象面積の選定を実施。緑が作付け、茶色を作付け面とした。

 

 

 

 

教師なし分類②

 

 

 

 

分類結果の比較

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