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2021.10.19

SARリモートセンシング講座の演習例ー2021年度その2

リモートセンシングの基礎知識をお持ちの方で、SARデータをこれから扱いたい方を対象に開講しているSARリモートセンシング講座は、SARセンサの仕組みや解析技術について、実習でソフトウェアを使用しながら理解し、総合演習で実践的に課題解決できる技術を身に着ける講座です。ここでは、20211078日に開講した2021年度第3回SARリモートセンシング講座で実施された総合演習の結果をご紹介いたします。

 

1.石狩平野(北海道西部)における水稲モニタリング

解析対象地域
石狩平野は石狩川の河口付近に位置し、面積は3,800km2。稲作が盛んな地域。

使用データ
衛星/ センサ : ALOS / PALSAR
バンド          : L
偏波    : HH
分解能   : 10m
観測日   : 2010年6月6日、2010年9月6日、2010年10月22日

©JAXA


解析結果(6月6日~9月6日)

RGB合成画像 (R:6月6日、G&B:9月6日)
・水田に関してはおおむねσ0が増加傾向(青)
・一部でσ0の低下傾向(赤)がみられ、水が張られたか、など推察できる

©JAXA


解析結果(9月6日~10月22日)

RGB合成画像 (R:6月6日、G&B:9月6日)
・水田に関して、σ0が増加傾向(青)と低下傾向(赤)が混在しているため、稲刈りが済んでいる場所と済んでいないところがある。

©JAXA


まとめ

・北海道(石狩平野)では、5月中旬から下旬にかけて田植えをする。
  → 6月6日時点では水面による鏡面反射がメイン。
・北海道(石狩平野)では、9月中旬から収穫が始まる。
  → 9月6日は収穫前で穂が黄色くなった状態で後方散乱係数が最も大きい時期。
  → 10月22日は稲刈りが始まっているが、場所によっては済んでいないところもあり後方散乱係数の変化にもばらつきがある。

 

2.富士山周辺の茅場の検出

目的
富士山周辺にある茅場(すすき)の検出、特に朝霧高原の茅場

 

解析データ
ALOS-2 2014/6/20 富士山初画像 高分解能3mモード(HH+HV)

©JAXA

行ったこと
・HH,HV偏波データを後方散乱係数への変換
・SARデータのカラー合成
・Landsat8のRバンドと合成(をやりたかったがそこまで面白くなかったので割愛)

SARによるカラー合成

©JAXA

 

©JAXA

考察

・茅場指定区域は黒くなっており、HHとHVで差がない。 →4~5月にかけて野焼きするため、おそらく6月だとそこまですすきが育っていないために偏波による差がないと考えられる。
・丸で囲った領域は茅場指定区域から外れている地域であり、やや緑色気味。 →茅場指定区域ではないため、緑化が進んでいるのではないか。
・四角で囲った領域は道の駅周辺 →赤く見え、建物の存在が見て取れる。

 

3.東日本大震災前後の気仙沼沖海岸

目的
東日本大震災前後の気仙沼沖海岸の様子を比較する

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使用データ

対象地域  : 宮城県気仙沼海岸沖
使用データ : 東日本大震災(宮城県北部)
観測日   : (災害前)2010年10月28日  偏波HH
          (災害後) 2011年3月15日   偏波HH

行ったこと
2時期観測データのラスタ結合(R:災害前、G:災害後、B:未設定)

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考察
気仙沼は牡蠣やサメが有名 →災害前に現れる四角いものは航空写真より船舶*と考えられ、災害により船舶が流されていることが考えられる
 *正しくは船舶ではなく牡蠣養殖筏
2019年亀島大橋が施工されたが、解析対象日は施工前のため橋は見つけられなかった →2019年4月以降の衛星写真と比較して橋の誕生を見たかった。

 

 

 

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